2016年6月28日火曜日

締め切りギリギリ症の対症療法と根源的療法

1 締め切りギリギリ症

笠原敏雄さんが「幸せを拒む病」(フォレスト出版)で論じる「締め切りまぎわにならないと課題に手をつけられない現象」を短縮してこのブログでは「締め切りギリギリ症」と名付けることにします。

2 対症療法と根源的療法

締め切りギリギリ症について笠原敏雄さんは「いわゆるグズを治す方法を教える本などを読んだとしても、ことはそう簡単ではありません。技術の問題ではないからです。」と書いています。

この文章に触れて笠原敏雄さんが考えていることが締め切りギリギリ症の対症療法ではなく、その現象の原理とか、その現象の根源的療法であることとして理解しました。

笠原敏雄さんは世の中で心の専門家という人を含めて、締め切りギリギリ症の本質を理解し、その根源的療法を行えるのは自分だけであると自信をもっているのだと思います。

笠原敏雄さんが対症療法と根源的療法を区別して対症療法に重きをおかないことはよくわかります。

なにしろ、笠原敏雄さんの幸福否定説は現代文明の基礎となっている唯物論の否定にまで届き、生物進化論の中で人の心の発達を位置づけようという壮大なものです。

世の中が少し変化すれば、あるいはその説の理解が進めばノーベル賞確実レベルであると考えます。

世の中の根本原理を変えてしまうかもしれない説です。

そのような壮大な説を、その特性から理解する人が少ないので(忌避する人・無視する人が多いので)、誰でも理解せざるを得ない例として締め切りギリギリ症などの身近な例をだしているのだと思います。

笠原敏雄さんにとっては、締め切りギリギリ症を治すには幸福否定説に基づく根源的療法(感情の演技)が最も確実で近道であるにちがいありません。

3 対症療法の効果

私は笠原敏雄さんの壮大な仮説に大いに興味を引かれます。

このブログで実況中継することになる「幸福を率直に受け入れるための方法-感情の演技-」の実践を楽しみにしています。

同時に、笠原敏雄さんが一顧だにしない締め切りギリギリ症などに対する対症療法、つまりグズ本の大量読書、生活技術の貪欲なスキルアップにも取り組んできています。

そしてそれらの対症療法にも大いに価値があると実感してきています。

対症療法の良い点は、その療法が少し的外れであったとしても、自分の心理を自分が観察して、それを治そうと意識するのですから、時間が経過すれば生活改善の知恵が出てくる可能性が高まる点にあると思います。

最初からグズ本や技術の価値を否定することは実生活では得策ではないと思います。

ですから、自分が体験的に価値を認める対症療法(グズ本活用、生活技術のスキルアップ)の効果と笠原敏雄さんの根源的療法(感情の演技)の比較、関係にとても興味があります。

4 締め切りギリギリ症に対する社会の対応

締め切りギリギリ症は一般に見られますから会社や組織ではそれなりの対応をしています。

私の経験でいえば、発注者と受注者のいる仕事では、有能な発注者は必ず次のような策を取ります。

つまり、受注者(担当個人)が締め切りギリギリ症で仕事を納期の最後にやっつけ仕事で済ませてしまい、粗雑な成果となる可能性があることを防ぐために、必ずステップを踏んで中間報告をさせます。

締め切りギリギリ症の担当者であっても、その締め切りが定期的にあれば仕事をせざるをえません。

また、締め切りギリギリ症の担当者をチェックさせるために、受注者内部での事前チェックを義務化して報告させます。

さらにいろいろな具体的対応策があります。

これらの対応策は業界でマニュアル化され、制度化され、そのスキルの資格(※)があり、その資格者の存在が受注条件にも関わります。

つまり、締め切りギリギリ症は誰にでもありますから、放っておけば業務に大きな損失となることは会社や組織は何度も凝りていて、よく知っているので、その害を最小化するために多重の策を業界ぐるみで講じているのです。

その効果は無策時と比べるならば、大いにあると思います。

会社や組織は笠原敏雄さんの仮説は誰一人知りませんが、一定の実効性のある対症療法はすでに組織的・計画的に実行しているのです。

私の体験では、このような社会環境に身を置くと、締め切りギリギリ症の根源的解消は無いかもしれませんが、締め切りギリギリには仕事をしないという習慣が身に付き、締め切りギリギリにやっつけ仕事をして周りに迷惑をかけるという事態がかなり抑えられていると考えます。

※たとえば技術の分野では技術士制度の中に個別技術部門(建設・環境・農業・機械・電気…)とは別にすべての技術に共通する技術を扱う部門(総合技術監理部門)があり、その中でスケジュール管理が重要な項目となっています。

スケジュール管理では人間心理への働きかけや動機付け、質の高いコミュニケーションが重要な鍵となっています。

花見川風景 弁天橋から下流

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