笠原敏雄著「幸せを拒む病」(フォレスト出版)では幸福否定の意思を弱める方法として、“感情の演技”を詳しく説明しています。
この記事では感情の演技の概要説明文を引用し、その感想を述べます。
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心の研究室では、幸福否定の理論に基づいて、“感情の演技” という方法を中心にした心理療法を行なっています。
具体的な方法は後ほど説明しますが、要するに、うれしいという感情を中心に、素直な感情を作ってもらうのです。
それによって、幸福否定の意志を弱めようとするわけです。
これが、感情の演技という方法です。
身体的な演技のように、感情を作る努力をするという意味です。
訓練の場合には、少しずつ上達することが実感されるものですが、感情の演技では、それとは違って達成感がほとんどありません。
しかも、幸福否定の意志はとてつもなく強いので、長い年月をかけても、ごくわずかずつしか弱めることはできません。
さらには、その好転も、他人からはわかっても、本人の意識にはほとんど自覚されないため、はりあいというものがほとんど感じられないのです。
それに加えて、感情の演技をすると、それてしまわない限り、反応というものが例外なく起こります。
先述のように反応は、それが表出すること自体に治療効果があるわけではありませんが、その感情の演技のやりかたが正しいことを教えてくれる目印になります。
反応の強さはさまざまで、場合によってはかなり激しいこともあります。
その場合には、治療というよりは、むしろ修行のような感じにすらなるでしょう。
とはいえ、反応がなるべく強まる方向ヘ感情の演技を繰り返してゆくと、幸福否定が少しずつ弱まり、それと並行して素直な感情が表出するようになります。
これを比喩的に説明すると、川の急流を遡って行きさえすれば、必ず水源に行き着くことができるので、それ以外の舵とりは不要ということになるでしょう。
ただし、その成果が意識で実感される部分は少なく、主として行動の変化という形で現われます。
その結果、前章で見てきたような、幸福否定の意志によって引き起こされる症状や現象を作る必要性も小さくなります。
ただし、このように行動の変化が先行し、意識がかなり遅れてついていく形になるため、私が“好転の否定” と呼ぶ状態に陥ることがしばしばあります。
これについては後ほど説明します。
感情の演技によって抵抗に直面する作業を続けていくと、症状が好転するだけでなく、それまでどうしてもできなかったことが苦もなくできるようになることを含め、全般的に前向きになるという変化が自然に起こります。
笠原敏雄著「幸せを拒む病」(フォレスト出版)第4章から引用
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感情の演技 という療法に関する感想
● うれしいという感情を実感できるように訓練すると、幸福否定の意思が弱くなるという因果関係を体験的直観的に首肯できます。
心理療法とか心理訓練とは関係ありませんが、うれしいことや楽しいことで心を満たしている時間(機会)を持った時、それが生活に好影響を及ぼしたと自他の観察から体験しています。
このことと、感情の演技がどこかで通底しているように感じます。
職場でグッド&ニューというアイスブレイクを毎朝行うようになってから、雰囲気が良くなり、生産性が向上しました。
花見川流域を歩く本編2016.01.03記事「趣味活動における「グッド&ニュー」」参照
「ささやかな夢リスト」をブログ記事に書くとその実現が早まるように感じています。
花見川流域を歩く本編2015.01.14記事「ささやかな夢リスト(2013.11.15)をふりかえる」参照
● 肉体的訓練、知的学習的訓練などと比べながら著者の膨大な療法活動を背景に説明されているので、受け入れやすいです。
感情の演技説明にオカルト的、非合理的要素が入り込む余地がないように感じ、安心感を持って受け入れることができます。
● 一般生活で取り組む訓練(例 肉体的鍛錬、語学習得、自動車免許取得…)と同様の苦労レベルで取り組むことができそうな感覚をもちます。
要するに自分でも、周りの人でも、誰でもそれなりの苦労を前提にすれば、成果を上げうる活動であると考えます。
● 心理療法家のサポートが無くても、個人独自に感情の演技を実行してみることによって、素人なりに多少の成果がありそうな印象を受けます。
花見川風景 2016.08.09 早朝
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