これ以外に感情の演技は反応や症状の心理的原因を突き止めるための手段として使うことができることが笠原敏雄著「幸せを拒む病」(フォレスト出版)で詳しく紹介されています。
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心理的原因を絞り込んでいく方法
先述のように、感情の演技は、反応や症状の心理的原因を突き止めるための手段として使うこともできます。
抵抗を呼び覚ますという点で、完全に共通しているからです。
実際に心理的原因を探り出す方法は後ほど詳しく説明しますが、ここでは、“青木まりこ現象” のように、症状の出る状況が特定されている場合に、原因を精密に絞り込む方法を説明することになります。
原因を突き止める手段として利用する場合、感情を作るというよりは、ふたつの事柄をむりやり結びつけるというやりかたを主に使います。
これを、私は“結びつけ” と呼んでいます。
具体的なやりかたは後ほど説明します。
ここで、原因を突き止める手段として使った場合の判定基準を、先に説明しておきます。
そのためには、
・どの感情を作るのが難しかったか
・どの感情を作ろうとした時に最も反応が出やすかったか
というふたつの指標を使います。
このふたつはだいたい一致します。
つまり、作るのが難しい感情の場合には、反応も出やすいということです。
たとえば先ほどの、“青木まりこ現象” を起こす人であれば、「本が好きだ」という感情を作ろうとした時に感情が出たとすると、その人は、自分の意識で感じている以上に、本当は本が好きだと考えてよいでしょう。
そのような人では、書店に入ったとたんに、便意を含め、何らかの症状を出す可能性が高いはずです。
あるいは、「読みたい本が見つかってうれしい」という感情が作りにくく、その時に反応が出やすかったとすれば、その人は意識で感じている以上に、読みたい本を探し当た時のうれしさが強いことになります。
この場合には、書店に入った時点で症状が出るのではなく、店内をしばらく探し歩き、読みたい本が見つかったとたんに症状が出る可能性が高いことになるでしょう。
そうした推定が正しいかどうかを確認するには、次のようにします。
たとえば先ほどの「本が好きだ」に抵抗があるとすると、自分が書店に入った時に便意が出るのは、次の理由によるのではないかと考えてみるのです。
①本が好きなためだ
②それ以外の理由による
①の場合は「自分が書店に入った時に便意が起こる」という現象と、自分が「本が好きだ」という感情を結びつけようとしてみるということです。
②は、この場合、比較のための対照です。
この推定が当たっている場合には、磁石の同じ極を近づけた時のような反発が起き、ふたつを結びつけることが難しくなります。
それとともに、反応も起こります。
その場合には、②を考えた時には抵抗は起こらず、簡単に結びつけができるはずです。
何度か繰り返しても同じ結果になれば、それで原因がほぼ確定されたと考えてよいでしょう。
そして、「本が好きだ」という感情の演技を、今度は治療として続けるわけです。
しばらく続けて、もし感情が少し作れるようになったら、その段階で抵抗の強い別の課題を探します。
ただし、中には対照のほうに抵抗が起こって結びつけができないこともあります。
その場合には、「本が好き」ということ以外に、書店に入ったとたんに喜びが起こる別の理由を探さなければなりません。
他の可能性を探るヒントは、どのような書店で起こりやすいか、図書館や古書店ではどうか、買いたい本が決まっている時かどうか、誰かと一緒の時かどうか、時間帯は関係があるかなど、さまざまな条件に当たり、共通点を探し出すことです。
その結果、買いたい本が決まっている時には便意が起こらないことがわかったとすれば、「自分が読みたい本を、たくさんの新刊書の中から探し出す喜び」の否定という可能性が浮かび上がるでしょう。
このように、いちいち反応を使って確認しながら、その人なりの心理的原因を絞り込んでゆくわけです。
この場合、反応は嘘のように簡単に起こります。
そのおかげで、反応は、肝心な事柄を探り出す際の非常に有力な目印として、かなり実用的に使えるのです。
逆に言えば、これほど明確な現象が、これまで全く知られていなかったことのほうがよほどふしぎに思えます。
しかしながら、それもまさに抵抗の結果なのです。
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これまでの学習から、自分なりに感情の演技の活用場面を要約すれば、
1 問題とする反応や症状の心理的原因を特定するために、感情の演技を活用する
2 特定した心理的原因に関わる反応や症状を緩和するために(幸福否定の意思を弱めるために)、感情の演技を活用する。
ということになります。
感情の演技について知識レベルでは一応理解できた(と思った)ので、実際に自分自身が実験的に実施体験することにします。
次のような実験を行うこととします。
1 問題とする症状として、趣味活動における睡魔を設定します。
趣味活動(ブログ記事作成等)において、睡眠時間が不足していないにも関わらず睡魔に襲われることがたびたびあります。
一方、WEBで世の中を騒がしているようなニュースを読んだり、ネットサーフィンしているときは、睡眠時間が少なくても(体調が悪くても)、睡魔は発生しません。
学生時代に試験勉強を始めようとすると眠くなったり、いつもは気が付かない些事のとりこになってしまい、勉強が始まらない時と同じような状況が発生します。
このような睡魔克服を最終目標として実験を始めます。
2 睡魔の心理的原因を感情の演技で特定します。
趣味活動(ブログ記事作成)といっても、3つあるブログのうち、「花見川流域を歩く番外編」と「学習 幸福否定」の活動では睡魔を体験しません。
3つのブログは全て同じ趣味でお遊びですが、この2つのブログはお遊びのまたお遊びですから当然です。
睡魔に襲われることがある「花見川流域を歩く」(本編)の活動で、どのようなテーマで、どのような状況で睡魔に襲われるのか、その心理的原因を感情の演技を活用して突き止めたいと思います。
実験計画の詳細は次の記事で報告したいと思いますが、上の引用文章で述べられている「結びつけ」を多様することになると思います。
幸い、
「反応を利用した「本当にしたいこと」探索実験 その1」
「反応を利用した「本当にしたいこと」探索実験 その2」
「反応を利用した「本当にしたいこと」探索実験 その3」
の体験が生きることになります。
3 特定した心理的原因に関わる睡魔という症状を緩和するための感情の演技を実施します。
個人レベルでどこまで実施でき、どこまで効果があるか現段階では全く不透明ですが、チャレンジしてみます。
花見川風景 2016.08.24
感情の演技はぜひ続けてください。
返信削除自分がいかに幸福否定が強いか吃驚するくらいにわかりますよ。
ハートセラピストさん
返信削除コメントありがとうございます。
確かに、まだ、幸福否定の強さのなんたるかが判っていないのかもしれません。
感情の演技チャレンジをこれから始めます。
幸福否定の強さをこれまでとは別の感情を伴って実感出来た時、自分がそれをどのように活かそうとするのか、その感想が楽しみです。